第24章

「産めないなら……産める女がいるの?」と大島莉理が問う。

「もちろんよ! 何――」

田中友里子が反射的に言いかけた瞬間、田中尚哉が彼女の口を手で塞いだ。そこでようやく、息子の顔色が最悪なほど悪いことに気づき、田中友里子は気まずそうに言葉を飲み込む。

「尚哉……」

田中尚哉は取り合わないまま大島莉理の前へ歩み寄った。彼女の頬には、まだ赤ワインの跡が残っている。尚哉はテーブルから紙ナプキンを抜き取り、片手で莉理の顎をそっと持ち上げた。

やわらかな動きで、赤ワインを丁寧に拭い取る。跡が消えるまで、何度も。

小さく息をついて、尚哉は言った。

「母さんが勘違いした。嫌な思いさせたな」

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